Chef Italiani a Tokyo
東京で輝く、イタリア人シェフたち
今や東京のイタリア料理界で欠かせない存在となった、ハイブランドが展開するリストランテ。異国である日本で、さらなるイタリア料理の高みを目指す気鋭シェフたちを訪ねてみた。
The Pizza Bar on 38th

【Profile】
ダニエレ・カーソンさん
ローマ出身。2013年にマンダリン オリエンタル 東京に加わり、8席限定の「ピッツァバー on38th」をオープンさせる。2016年より同ホテルのエグゼクティブ シェフに就任し、2023年に『50 Top Pizza』にて「50 Top Pizza Asia –Pacific 2023」1位評価を獲得。
「日本の希少な食材の魅力を“おまかせ”ピッツァで伝えたい」─ ダニエレ・カーソンさん
五つ星ホテルで提供するピッツァはどうあるべきか。遡ること今から10年、「マンダリン オリエンタル 東京」のシェフとして迎えられたダニエレ・カーソン現総料理長は、ストリートフードのピッツァとは一線を画す新たなピッツァの開発に取り組んだ。そして今年、同ホテルの「ピッツァバーon 38th」はアジア・ベストピッツァ50の最高位に輝いた。

「この十年間の努力が評価されたことはもちろんですが、繋がりを持つ日本各地の生産者さんにスポットが当たることが何よりも嬉しい」とカーソン氏は言う。「私のピッツァの原点は子供時代を過ごしたローマの街でお馴染みの薄くて軽いピッツァです。ファインダイニングで磨いた技と経験を元に、さらに生地を軽やかに、味わいも深め、トッピングにも仕事を施すことで、高度に洗練されたピッツァを目指してきました」。


生地はイタリア産の粉5種類を独自の配合で混ぜ、ライ麦粉の割合の多寡で2種類の生地を用意。トマトベースや軽いトッピングにはライ麦粉少なめの生地、味わいのしっかりしたトッピングにはライ麦粉多めの生地、というように使い分ける。どちらも加水率は80%、そして48時間以上という長時間発酵により、食感軽くしかも消化の良い生地となる。
この丹精込めた生地に合わせるトッピングは、日本各地から届く希少な食材だ。生産量が少なく、また旬が短くても、優れた味と香りを持つ食材を積極的に使う。「ホテルとしては安定供給が理想ですが、日本の隠れた食材の魅力をもっと知ってもらうことの方が重要。そのための方法として日本の鮨文化を取り入れました」。
つまり、旬のトッピング(=ネタ)を絶妙に仕立てた生地(=シャリ)と共に味わってもらう。そして“おまかせ”でその時季の一番良い食材を楽しんでもらうというわけだ。「とはいえ、味わいは100%イタリアを感じてもらえるはず。その土地の食材でイタリアを表現することが私の使命です」。
ピッツァバー on 38th
東京都中央区日本橋室町2-1-1
TEL:03-3270-8800
営業時間:〈ランチ〉11時30分~、12時~、13時30分~、14時~ 〈ディナー〉17時30分~19時30分、20時~22時
料金:ディナーの「おまかせコース」は前菜1種、おまかせで1人13200円。ランチのおまかせコースは、もう少し枚数を減らして1人9900円。
※要予約 予約はwebサイトがおすすめ。予約はこちらから>>>
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