Life with CRAFTSMANSHIP
ビームス クリエイティブ・ディレクター 南雲浩二郎さんが考える
クラフツマンシップを感じる暮らし
年代、素材、国、ブランド問わず、自分が好きだと感じた物だけが置かれている南雲さんの自邸。選ばれた物たちのクラフツマンシップを誰かから受け継ぎ、また誰かに受け継いでいく。ここでは、自著の中からクラフツマンシップを感じる物についてお話いただいた。
「そのデザインや佇まいから伝わる腕前によって生み出される質の高さ」

ベルント・フリーベリのミニチュア陶器
「1994年の頃、写真集で知ったベルント・フリーベリは、陶工としてとても腕前が立っていたそう。北欧に行くたび少しずつ買い集めてきました。卓越したロクロの技術に惹かれました。禾目(のぎめ)という伝統的な釉薬による柄は、中国の宗の時代にインスパイアされているとのこと。写真では伝わりづらいと思いますが、ミニチュアサイズです」

惣堂窯・掛谷康樹の器
「土を重ねて柄を作っていき、そこから成形する“練り上げ”という手法に興味を持ち、個展があるたびに足を運ぶ作家さん。自分で編み出した柄を定番的に作っていたり、そこから更にブラッシュアップしたりと、そういった部分では作家でもあり職人でもあると思います。大胆な柄ですが使い勝手がよく、どんな料理にでも合うのでよく使っています」

富本憲吉の箸置き
「民芸運動の始まりの頃に関わりを持っていたという富本憲吉。自分で作陶をしながら、同時に量産用の工房も持っていて、その工房で作られた箸置きです。作品と日用品を分けて作っていた彼の、日用品の方。陶工たちが量産することにより、皆さんの手に届く物としてより広くたくさん売っていくという考え方はとても職人的であると思います」
ビームスクリエイティブ・ディレクター
南雲 浩二郎さん

VMDの統括後、デコレーターとして国内外で様々な家具やオブジェ、アートなどを買い付けてきた経験から、現職ではビームス社外のクライアントよりプロダクトからインテリアまで、様々なディレクションを請け負う。

OBJECTS balance of differences
タイトルの意味は「異なるモノの均衡」。幅広い媒体で取材を受ける南雲氏の自宅から、多種多様なモノを250点以上収録し、“モノとの関わり方”や“目線”が紐解かれていく一冊。2420円(世界文化社)
[MEN’S EX Spring 2023の記事を再構成]
※表示価格は税込み。