“年齢を重ねるほどに、どんどん原点に返っている気がします”

年齢を重ね「しっくりきているものを一生使い続けたい」
俳優業のみならず、様々な番組で司会を務め、2021年春にフジテレビ「めざまし8」のメインキャスターに就任以来、“朝の顔”としてもお馴染みの谷原章介さん。今年7月には50歳という大きな節目を迎えた。
「50になって、人生の残り時間を少し考えるようになりました。今まですごいペースで仕事をしてきて、この間も『めざまし8』をやりながら舞台も務めました。若い頃は全然それでよかったんですが、今、時間的にも体力的にも限りがあることを意識しながら仕事に向き合い始めています。『めざまし8』を皆さんにかわいがって頂き、できる限り長く続けながら、役者はある意味一生続けられる仕事ですから、糧になるものを積み重ね、50歳の今しかできない役、60歳になった自分にしかできない役を演じていきたいですね」
芸能界きっての時計通にして、ファッショニスタでもある谷原さんの人生を彩る“一生大定番時計”とは?
「新しいものを追いかけていくのも大事ですが、50歳になって、長く使ってきてしっくりきているものや、一生使える飽きのこないシンプルなものを使い続けたい思いが強くなっています。年齢を重ねるほどに、どんどん原点に返っていくように感じます。現行モデルも、もちろん好きですが、それぞれの時代のニオイを宿したものに惹かれます」
最近の谷原さんの思いにしっくりくる1本、パテック フィリップ『3796D』のティファニーとのダブルネームを着用頂いた。

「朝の番組でスーツを着ることが増え、改めてドレスウォッチの大事な部分を実感しています。袖口にスッと隠れて、目立たせないことが一番のポイントかなと思います。『めざまし8』を始めてから、ちょっと古いスモールサイズのパテックのドレスウォッチに傾倒し、今番組では、ほとんどパテックですね。パテックはドレスウォッチの原型をつくったわけですから」
加えて最近ハマっているのが、IWC『ポートフィノ』。
「表紙では『ポートフィノ』の現行モデルを着用しましたが、実は最近、ちょっと昔のやや小ぶりな『ポートフィノ』にハマっています。歴史もあり、バリエーションも豊富。ベーシックなだけに飽きがこず、腕に着けたときの馴染み方や美しさはすごい」
谷原さんにとって、もうひとつ重要な“一生大定番”がある。
「僕の中で一生大定番と言えるのは時計デザインの巨匠ジェラルド・ジェンタ、大好きなんです。IWCだと、Cラインを導入した最初の『ヨットクラブ』、八角形ベゼルの『ヨットクラブⅡ』、六角形ケースの最初の『ゴルフクラブ』、二世代目の『インヂュニア』などがありますし、ユニバーサル・ジュネーブの『ポールルーター』や『ホワイトシャドウ』などにも魅力を感じます」
谷原さんが時計を購入するとき、ひとつのルールがある。
「昔のモデルを買う際に、当時の価格を超えているかどうかをひとつの基準としています。プレミアがつき過ぎているものには手を出したくない。所有している中には値上がりしているものもありますが、それが目的で買っているわけではないので。投資対象として腕時計を買う人は、ブームが去れば立ち去っていく。その間に本当に好きなユーザーが離れてしまうのは残念」
資産価値云々ではなく、自分の気持ちに寄り添う時計たちとどう付き合うかが大切だ。
「仕事のときはドレスウォッチをいくつかまとめて持っていきますが、むしろ仕事現場に行くまでや、休日にどんな時計を着けるかを考える楽しみがあります。ホイヤー、ロレックスの昔の『バブルバック』、最近はルクルトの『フューチャーマチック』も気に入っています。その日、ピンときたものを着けたいので、時計から服装を決める場合もあれば、着たい服や靴から逆算して時計を選ぶときもあります。自分が気に入って着けている時計が、人格とか、考え方とか、その時に感じていることとかを表わすことになると思いますから」
達人・谷原さんにならい、“一生大定番”時計と出会い、ともに時を刻んではいかがだろうか。