最も身近な複雑時計であり、デザイン性も高く、メカ好きからファッション好きまでを魅了するクロノグラフ。そんなクロノグラフ180本を紹介するバイヤーズガイド『超本格クロノグラフ大全』から、その中身をピックアップしてご紹介。
「時計史に刻まれる傑作」クロノグラフ
屋根裏で待ち続けたハイビートクロノグラフ
ゼニス
クロノマスター エル・プリメロ オープン

心臓部が見えるオープン仕様
エル・プリメロ初期の文字盤スタイルを踏襲したハイビートクロノグラフ。2色のカウンターを配したシルバー文字盤の左側に、シリコン製ガンギ車やアンクルなどの内部機構が観賞できるオープンデザインを採用。また、そのデザインを邪魔せぬよう、スケルトン仕様のスモールセコンドを配備した。自動巻き。径42mm。SSケース。アリゲーターストラップ。10気圧防水。
価格:103万4000円
問:LVMH ウォッチ・ジュエリー ジャパン ゼニス
TEL:03-3575-5861
10年後の復活につながった名機を愛するがゆえの反逆
1969年、ゼニスは世界に先駆け、毎時3万6000振動で高速振動する自動巻きクロノムーブ「エル・プリメロ」を発表。これにより画期的な1/10秒のクロノ計測を実現し、同社は名実ともにクロノグラフのトップメーカーにのぼりつめた。
だが、’70年代になるとクォーツブームの波が押し寄せ、伝統的な機械式時計が斜陽となるなか、’75年に当時の経営陣がエル・プリメロの生産を中止する決定を下す。これに反旗を翻したのが同社の時計職人シャルル・ベルモだった。彼は上層部の指令に逆らって、エル・プリメロの製造に必要な技術計画書と道具を集め、工房の屋根裏部屋に隠したのである。もちろん、いつの日かこの画期的なムーブが復活する日が来ることを願って。
その日は10年後に訪れ、エル・プリメロは再び生産開始されることに。その際、重要な役割を果たしたのが、ベルモが守り抜いた品々だったのは言うまでもない。

エル・プリメロを守り抜いた救世主
エル・プリメロ生産中止の際、その設計図などを屋根裏部屋に隠して守った時計職人シャルル・ベルモ。10年後、彼の行動により名機復活が実現した。

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