最も身近な複雑時計であり、デザイン性も高く、メカ好きからファッション好きまでを魅了するクロノグラフ。そんなクロノグラフ180本を紹介するバイヤーズガイド『超本格クロノグラフ大全』から、その中身をピックアップしてご紹介。
【注目のクロノグラフ】
タグ・ホイヤー オータヴィア 60周年アニバーサリー フライバック クロノグラフ
TAG HEUER(タグ・ホイヤー)

フライバック機構搭載で蘇ったブランド伝説のコレクションのクロノ
カレラやモナコほど名は知られていないが、タグ・ホイヤーの歴史を飾る隠れた名作というべきレーシングクロノが「オータヴィア」だ。オータヴィアの名はもともと1930年代に登場したダッシュボードタイマーに由来する。“オートモービル(自動車)”と“アヴィエーション(航空)”を融合した造語を名に持つこのクロックは、その名の通り自動車や航空機の操縦席で活躍した当時の主力製品だった。これに目をつけたのが、やはり4代目のジャック・ホイヤー。かつての主力製品の名を踏襲し、回転ベゼルを擁した斬新な姿で初代レーシングクロノのオータヴィアを’62年に発表する。そして’60年代を通し、同社を代表する1本としてレースシーンで愛用された。
これまでも何度か復刻されてきたオータヴィアだが、2022年、腕時計となって誕生60周年を記念する新作を発表した。その最大の注目は、最新の自社製キャリバー「ホイヤー02 COSC フライバック」の採用。本キャリバーは従来のコラムホイール、垂直クラッチ、約80時間パワーリザーブに加え、フライバック機能を搭載。プッシュボタンの操作で連続計測が可能なワンランク上の機能性が味わえる。さらにCOSC公認クロノメーターも取得し、精度の高さは折り紙付き。シースルーバック越しに、赤色に染めたコラムホイールを観賞することもできる。
また、ブラックPVDを施したケースにブラックセラミック製の回転ベゼルを備え、スーパールミノバ付きのブラック文字盤を組み合わせた。これにより精悍なオールブラック仕様を手に入れるとともに、耐傷性の向上といった実用面も考慮されている。一方で、リューズはパイロットがグローブを着用しても操作しやすいよう大きく、ストラップの裏側は華やかな赤色にするなど、名作の誕生60周年を祝うにふさわしい仕上がりとなっている。
フライバック機能を備えたCOSC認定自社キャリバー
自社製Cal.ホイヤー02 COSC フライバックを搭載。フライバック機能付きで、COSC公認クロノメーターの高品質ムーブだ。シースルーバックを通して見せる姿も非常に個性的。
