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【全3回連載/前編】綿谷画伯「純国産ツイード」でビスポークの夢
綿谷画伯が惚れた「純国産ツイード」とは?【全3回連載/中編】
[The STORY 03]憧れのノーフォークジャケットはどう作られたか――――
「工房泣かせの仕様を叶えるべく 伝統を知る匠に依頼をしました」

「味わいある生地に本物の仕様でまるでヴィンテージのよう」
――綿谷さん

そして最後にこのツイードを用いた、ジャケットの作り手に話を伺った。今回、画伯がジャケットのオーダーを相談したのは、英国ヴィンテージウェアを中心に扱い、クラシックな英国服に精通する、スローン レンジャー トウキョウの大西さんだ。
「画伯とノーフォークジャケットのイメージを決めるときに話に挙がったのが、『華麗なるギャッビー』の作者として知られるF・スコット・フィッツジェラルドの着こなし。上着の前ボタンを外して開け、さらに、共地の腰ベルトはボタンを一つずらしてゆるく締める。このリラックスした着方がカッコいいと盛り上がりました。ですが、フィッツジェラルドのノーフォークジャケットのディテールを再現するのは至難の業。そんなときに、ベテランテーラーである髙橋光夫さんを知人に紹介してもらいました。実は高橋さんは、銀座壱番館の創業者も修行をしたという、赤坂見附にあった上原洋服店のチーーフカッターを務め、皇族の方々やあの白洲次郎氏の服を仕立てていた方。このクラシックで複雑なジャケットの仕様を熟知されていました。最も特徴的な横ベルトに関しても逆前合わせの構造にするなど、フィッツジェラルドの写真通りの仕様で仕立てることができたのです」