スーツ大賞2021 オーダーの際にも参考になる
【ファブリック スーツ大賞】Fabric Suits Award
ここ数年英国調の生地が人気だったが、コロナ禍以降、ユーザーの選ぶ生地に微妙な変化が起きているようだ。ここで選出された4着もそれを反映したもの。それぞれのスーツをよく知る方々をお招きし、最旬生地トレンドについて語り合っていただいた。
RING JACKET(リングヂャケット)
( Fabric )ゼニアの「NOVARA シルクジャージー」
“シルクを用いた贅沢なジャージー”
――津田さん

「生地はゼニアのシルク生地部門が作ったシルクジャージー(シルク95%+ナイロン5%)。紡毛糸より織られたその生地は滑らかな肌触りを残したまま、シルクのイメージとは裏腹な、しっかりした質感も持ち合わせています」(津田さん)。ジャケット17万6000円、パンツ8万8000円(以上リングヂャケットマイスター206 青山店)

TAKASHIMAYA STYLE ORDER SALON(タカシマヤ スタイルオーダー サロン)
( Fabric )御幸毛織の「ウールコーデュロイ」
“野暮ったさがない斬新コーデュロイ”
――橋本

「通常コットンで作られるコーデュロイをウールで再現したのが面白い。カジュアルな表情とウールのエレガンスが共存しています。軽い毛芯を使い、柔らかく仕上げた同店特別ラインのスーツの雰囲気にもぴったり」(橋本)。9万7900円〜〈オーダー価格〉(髙島屋日本橋店)

前回に続いてファブリック大賞のスーツ生地をご紹介。

篠塚 リングヂャケットの使うゼニアのシルクジャージーも、ジャージーなのに非常に高級感があり、しっかりした面構え。
津田 突き抜けて贅沢なジャージージャケットを作りたかったんです。そういう意味で言えば、髙島屋の使う御幸毛織のウールコーデュロイも、とても贅沢なコーデュロイですね。
橋本 今回ノミネートされませんでしたが、最近は羊や環境に優しい製法で作られたウールも増えています。
津田 名門生地メーカーほどそういうSDGs対策に積極的。これからどうそれを売り上げに繋げるかは課題ですが。
山浦 サステナブルな生地=安いと誤解している消費者も多いですから。そのあたりの意識から変えていく必要があります。

事前アンケートを元に、編集部がピックアップした本アワード受賞スーツのことをよく知る3名にお集まりいただき、生地にフォーカスした座談会を行った。
Profile
[中央左]リングヂャケットマイスター 206青山店 スタッフ兼プレス
津田京樹さん
国産スーツの最高峰であるリングヂャケットにて、青山店で店頭に立ちつつプレス業も兼任。既製服からオーダーフィッティングまで豊富な知識と経験を有する津田さん。
[中央右]日本橋三越本店 紳士服オーダーバイヤー
山浦勇樹さん
日本橋三越本店のメンズ部門のバイヤーにしてオーダー部門を統括する山浦さん。
[右]Y&Mコミュニケーションズ PRマネージャー
篠塚 剛さん
日本のメンズスーツに特化したアタッシュドプレス「Y&Mコミュニケーションズ」のPRマネージャーとして活躍する篠塚さん。
[左]編集部
橋本慎司
司会を担当した編集部・橋本。小誌では生地特集を手掛けることも。
[MEN’S EX Winter 2022の記事を再構成]
※表示価格は税込み