テンテケテケテケ、テンテン、パフッ♪えー、毎回コンサバなアイテムをお題にいただきましてあれやこれやとお洒落に説きます大人のコンサバ大喜利。いい答えには座布団さしあげて。

お題/マドラスチェック
マドラスチェックとかけまして、卒業写真のあの人と説きます。そのココロは
コンサバの夏の服といえば マドラスチェック。着こんで色が褪せても味になるのが、マドラスチェックであります。そこで今月のお題は『マドラスチェック』で参りましょう。
マドラスチェックというと、写真集『TAKE IVY』の中でもアイビーリーガーがバミューダパンツやシャツを着ていますが、アタシなんざぁ条件反射でぱっと思い浮かんじゃうのは、やっぱりアメグラでカートが着ていた半袖のマドラスシャツですな。
すると担当のハシモトくんが「カートってマドラスシャツなんて着ていましたっけ?」と、おかしなことを言うではないか。こらこら『アメリカン・グラフィティ』はメンズファッション誌の編集者なら必須映画ですよ。
どうやらハシモトくんは、アメグラはアメリカングランジの略で、カートはニルヴァーナのカート・コバーンのことだと思ったらしい。「アメグラのカートでめっちゃググっちゃいましたよ」と言うのだ。ハシモトくーん、そんなんだからいつまでたっても座布団運びから卒業できないのだよ。
そういえば、あれは世の中がまだコロナ禍になる前。海外取材で行ったアメリカ西海岸で、アメグラの舞台になったLAのメルズドライブイン・カフェに、半袖マドラスシャツに白いパンツをはいてカートと同じ格好で行ったことは、マスクをしなくてよかったいい思い出である。
夏のピッティにも、長袖のマドラスシャツの袖をまくってショーツに素足でオールデンのローファーを履いて行ったっけなぁ。その格好で『リヴェラーノ&リヴェラーノ』の店の奥の工房を、アントニオ・リヴェラーノさんとマネージャーの大崎貴弘さんに案内してもらって見学したことも、今となってはマスクをしなくてもよかったいい思い出である。
マドラスチェックも御大ことラルフ ローレンになると、またちょいと趣が違ってきますな。『ポロ ラルフ ローレン』のマドラスチェックと言えば、余った端切れを使ってパッチワークに仕立てたクレイジーパッチワークである。ひと目で「お、ラルフだね」とわかる銘品です。
昔のカタログなんぞを見ると、白いオックスフォードシャツにクレイジーパッチワークのタイとオッドベストとジャケットのマドラス3点セットにチノパンを合わせた、ラルフ流プレッピースタイルをしていますな。
渋カジ世代にとっての思い出のマドラスシャツといったら、このラルフのクレイジーパッチワークのシャツでしょう。電車の中でスマホで本誌の電子版を読んでいるそこの貴方も、学生時代に渋谷の『ラブラドールレトリーバー』で並行輸入のやつを買って、リーバイスの646にレッド・ウィングのアイリッシュセッターを履いてたクチでないかい?
えー、それでは今月のお題、マドラスチェックとかけまして「卒業写真のあの人」と説きます。そのココロは、「どちらも色は褪せても思い出はいつまでも色褪せません」。
いやぁ、今月は美しくまとまりました。アメリカングランジのカート・コバーンのハシモトくーん、いでさんにお座布団を3枚おさしあげになって。

[MEN’S EX 2021年9月号DIGITAL Editionの記事を再構成]