世界に誇る京の味を求めて
京に根ざす和洋王道の味、その真髄

ほかにない味を求め、料理のためだけに京都を旅する美食家は少なくない。宮中や仏教ゆかりの料理をはじめ、長い歴史と古くからの文化によって育まれた京都の食文化は奥が深いと言うほかない。
また、伝統の一方で、新しいものに関心が高い気質の京都人は文明開化とともに洋食の文化も受け入れた。京都を代表する和と洋の2つの老舗から、世界に誇る京の味の真髄が垣間見えた。<前回の記事はこちら>
国賓をも魅了する京フレンチの先駆
─ ぎをん 萬養軒 ─


京都の四季を取り入れた五感を満足させる美味とサービス
宮内庁・皇室との繋がりが深く、エリザベス女王をはじめとする世界のVIPをもてなしてきた『萬養軒』。洗練された料理とサービスに定評のある、京都で最も古く、格式あるフレンチレストランだ。
祇園に通う旦那衆が花街の芸舞妓衆とのご飯を食べに訪れたり、会食や家族の記念日に集ったり……いつの時代も京都人のハレの日を美食で彩ってきた。
料理は古き良き西洋料理を彷彿とさせるクラシックフレンチを主体とし、流行りに流されることなく、食しておいしく、居て心地よい、王道の美食を供している。定番のビーフシチューや名物のパリソワーズはずっと変わらぬ味、ソースや盛りつけは今の嗜好を取り入れ、古今の味を守っている。