“大事を始めるには、まず手近なことから始めよ”と教える中国の故事「隗より始めよ」。良い関係を築くには、まず一緒の食事から。達人たちのリアルな会食術を掘り下げる。

「松川」のうなぎの魅力はズバリ鮮度。なんと渋谷にうなぎを活かしておく”立て場”を設けることで、捌きたての味を実現しているのだ。写真は”幻のうなぎ”と呼ばれる静岡県焼津産のブランドうなぎを使った「贅を尽くしたうな丼 極」(肝吸い、お新香付き/ 6500円 ※数量限定)。有田焼の器が特別感を演出。丼からはみ出しそうなボリュームの鰻だが、脂がさっぱりして上品な味わいゆえ、ペロッとイケる。
今月の”会”の達人

マイヒーロー 代表取締役名越卓也さん
1971年生まれ。岩手県出身。出版社勤務、博報堂を経てスポーツに特化した制作会社「マイヒーロー」を設立。選手の公式サイト運営やメディア事業を展開。ドイツ発の新スポーツ「ヘディス」総代理店として競技の普及に注力している。
渋谷の駅前交差点近くに会食に使える店を発見
会食の店を選ぶにあたって、取引先からのアクセスを考慮するのは言うまでもない。便利なのはいくつもの路線が乗り入れるターミナル駅周辺だが、大人が腰を落ち着けて話せる店を選ぶのは容易ではない。若者や外国人観光客がひしめく「渋谷」などなおさらだ。
しかし、これも”会の達人”にかかれば何のそのだ。渋谷駅のほど近くにオフィスを構える名越卓也さんが接待ランチによく利用するのは、スクランブル交差点の目と鼻の先にある路面店。「駅から近すぎて皆さん驚かれます」と悪戯っぽく笑って教えてくれたのが、「渋谷松川 本店」だ。創業69年の、うなぎ料理の専門店である。
暖簾をくぐって店内に入ると、そこは駅前の喧騒が嘘のような静かな空間。2階には個室もあり、生け花や絵画が奥ゆかしさを演出する。まさに”灯台下暗し”だ。「スーツ姿のお客様が多いのが当店の特徴のひとつです。昼時は貴重な共水うなぎを使ったうな丼が人気で、夜には会食に最適なうなぎコースもご用意しております」(同店若女将・三田奈々美さん)
うなぎは焼き上がるまでに時間を要するもの。事前に提供してほしいタイミングを指定して待ち時間を短縮するのもいいが、敢えてその時間を活用し、商談する手もアリだ。渋谷の穴場、いざという時のためにぜひ押さえておきたい。
“会”を成功に導くには
ターミナル駅周辺に隠しダネを持っておく