不要な回り道をせずに”上質”に辿りつきたい人のために、服飾界の目利きたちが頻繁に使う専門用語を解説。これらを覚えれば、今まで以上に高いレベルでモノの吟味ができるようになるだろう。
【か〜こ】
ガゼット 製法
シャツの前身頃と後身頃を縫製した裾部分に見られる三角の布のこと。クラシックに準じた仕立てのシャツは大抵この仕様となっている。昔は縫製を補強する意味があったが、現代では飾りの意味も強い。
カセンティーノ 生地

伊・トスカーナ地方発祥の伝統の生地で、”ナッピングウール”と呼ばれる表面の独特の毛玉が特徴。これは木の枝などに引っ掛けたときに傷が目立たないよう毛足をあらかじめカールさせたもの。元々は狩猟などアウトドアユースの生地だったが、その表情は貴族階級にも愛された。
かぶせ襟 製法

ジャケットの上襟は「襟芯」、「表襟」、ひっくり返したときに見える「地襟」から成る。通常は上襟を作った上でボディに付けるが、かぶせ襟はまず襟芯と地襟を作りボディに縫製。その後に表襟をかぶせるように付ける。こうすることで上襟が落ち着き、首への吸い付きもよい。
カラス仕上げ 製法
靴のレザーソールを黒く塗装した仕上げ。高級靴に多い仕様で、よりフォーマルな印象となる。履くうちに色が落ちてしまう接地面を通常仕上げとし、土踏まず部分のみ黒く塗ったものは半カラス仕上げ。
菊寄せ 製法

財布などの革小物の内装で見られる製法。表革の縁を内側に折り返す際、コーナー部分に工具の千枚通しを使って細かくヒダを寄せながら縫い留めたものを指す。菊の花びらのように見えるためこの名が。ヒダの幅が均等で緻密なものほど上質。
九分仕立て 製法
アッパー、中底、ウェルトを縫い合わせるすくい縫いを手作業で、アウトソールをつける出し縫いをマシンで行うこと。全てマシンで縫うグットイヤー製法で必要になる凸型リブを用いず、ウェルトをアウトソールに直接縫い付けるため、靴底の返りが良く、履き心地が軽くなる。
ゴム引き 生地

財布などの革小物の内装で見られる製法。表革の縁を内側に折り返す際、コーナー部分に工具の千枚通しを使って細かくヒダを寄せながら縫い留めたものを指す。菊の花びらのように見えるためこの名が。ヒダの幅が均等で緻密なものほど上質。
※表示価格は税抜き
[MEN’S EX 2018年9月号の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)