日本の物作りに注目が集まる昨今、スーツにおいてもその気運が高まっている。日本人に合うフィッティング、感性、新しさー。ファンを掴むその魅力に迫る。
STRASBURGO
ストラスブルゴのオリジナルスーツ

多くの個性を受け入れる”クセのない”究極

トラスブルゴでビスポークのテーラーを務めてきた大島崇照氏が、昨季から同店のオリジナルスーツのパターンを引いている。英国で修業を積み、現在は年に約70人近くもの個人オーダーを受けている大島氏。氏のエッセンスはどのような形でこのオリジナルに現れているのか。

12万円/ストラスブルゴ(ストラスブルゴ)
「実は、どういう形がかっこいいか、どういうシルエットにすべきかなどと考えていたわけではないんです。年に70着ほどの個人オーダーを受けていますが、私がすることは、体型、好み、立場、それぞれにまったく異なるお客様ひとりひとりの、ご要望通りに作るということ。そんな風に作ってきたことで、より多くの人の体に合うパターンが生まれてきたのかもしれません。だから、”クセのないスーツ”と言われるんです」。
大島氏がこだわるのは、基本に忠実な正しい位置で作ることだという。そうすることで前身頃がきちんと落ち、チェストから上は身体がしっかり収まる、身体に対して美しいスーツになるという。
同銀座店店長の門石貴幸氏は、「ブランドで着るというよりも、フィッティングで着ていただけるスーツ。着た人はスマートで堂々として見えるけれども、着心地にはゆとりがあり、柔らかく軽い。着た人だけがわかる良さがあるんです」と語る。
テーラーによって、人の身体に、スーツの正しさに忠実に作られたスーツは、既製服でありながら既製服にはない贅沢な着心地をもたらす。
ストラスブルゴ 専属テーラー
大島崇照さん

2000年より英・ロンドンのテーラーで修業。2004年帰国。ストラスブルゴのスーツを仕立て始め、2009年から正式に同店に所属。ビスポークライン専属テーラーに。顔出しNGのため今回は手元のみ登場。
「ハウステーラーズラボ」
[MEN’S EX2018年03月号の記事を再構成]
構成/谷田政史(CaNN)〈人物〉、若林武志〈静物、取材〉、上仲正寿〈取材〉、長尾真志〈取材〉、武蔵俊介〈静物〉、久保田彩子〈静物〉 スタイリング/武内雅英 ヘアメイク/MASAYUK(I The VOICE) 構成・文/伊澤一臣 文/池田保行(04)、秦大輔、間中美希子、吉田 巌(十万馬力) 撮影協力/バックグラウンズ ファクトリー