勲章スーツ名鑑
ファッション賢者を魅了する男前ラペル vol.1
クラシックびいきの紳士に愛される、メゾンがある。たとえばトム フォードとブリオーニ。クラフツマンシップ溢れる両者のスーツは、ラペルの表情も実に男前だ。象徴的な2モデルの魅力に迫ろう。
TOM FORD
トム フォードの「シェルトン」

スタイリッシュにして正道を行くオトコのスーツ

絞られたウエストに、長めの着丈。そして逞しい胸元へ吸いつくように据えられた、華麗にして迫力に満ちたピークトラペル——ドレッシーでありながら男らしさと、圧倒的な官能美に溢れるこのスーツは、’16年誕生のシルエット「シェルトン」をベースにした一作だ。
ネイビー×ブルーのシャークスキン生地は、スーパー110’S原毛を使用したブランド当初より続く定番。しなやかさの中にも適度なコシを備え、ラペルやボディラインを陰影豊かに、艶めかしく浮かびあがらせる。
ジェンダーレスなスタイルがもて囃される昨今だが、スーツはそもそも男性の衣服であり、男性の身体を最も魅力的に彩るもの。そんな男服の本質を研ぎ澄ませた正道の服作りこそ、トム フォードのスーツがファッション賢者に愛される理由だろう。
ファッションディレクター
森岡 弘さん
「私にとってのトム フォードの官能美」
「優雅なラペルの表情に加えて、狭いボタンの間隔や広幅のポケットフラップなど、仕立てに確信犯的な面白さが感じられます。男の身体を構築的に魅せる工夫が随所に凝らされているんです。色っぽくて艶やかで、大好きなブランド」
[MEN’S EX2018年03月号の記事を再構成]
撮影/谷田政史(CaNN)〈人物〉、若林武志〈静物、取材〉、上仲正寿〈取材〉、長尾真志〈取材〉、武蔵俊介〈静物〉、久保田彩子〈静物〉 スタイリング/武内雅英 ヘアメイク/MASAYUK(I The VOICE) 構成・文/伊澤一臣 文/池田保行(04)、秦大輔、間中美希子、吉田 巌(十万馬力) 撮影協力/バックグラウンズ ファクトリー