SIHH 2018 DAY 1

星にまつわる優雅なコレクション
ヴァン クリーフ&アーペルのブースに行くと、そこは柔らかな光を放つ、カラフルなステンドグラスに飾られた素敵な世界となっていた。この素敵なステンドグラスは、シャガールの絵をモティーフにした、教会のためのステンドグラスを製作した工房の作だと聞いた。
このところ宇宙的スケールの天文腕時計に力を入れているヴァン クリーフ&アーペルは今年、「ミッドナイト ゾディアック リュミヌー ウォッチ」という、42mm径の星座シリーズの時計をコレクションに加えた。
この時計は黄道12宮の、獅子座や水瓶座などの星座のひとつずつを文字盤に配し、ボタンを押すとその中の6つの星がLEDにより3秒間輝くという、遊び心あふれる仕掛けを持つものである。12星座のすべてが用意されているから、それぞれが自分の星占いの星座の時計を選べるから楽しみなことだ。
同じく42mm径の「ミッドナイト ユール ディシ エ ユール ダイヨール」は、以前のピエール アーペル シリーズからケースデザインなどを変更したもので、2つの丸窓にホームタイムとローカルタイムの異なる2つの時間を表示し、レトログラード分針が分を刻む時計だ。
また、数年前オランダの天文腕時計を専門とする独立時計師、クリスティアン・ファン・デル・クラウー(Christiaan van der Klaauw)とコラボレーションして制作されたプラネタリウムウォッチのレディス版が、今年の新作としてSIHHにおいて発表された。その直径が38mmということで、平均的な体格のアジア人男性なら、ちょうど付け心地の良いサイズの時計に思えた。
前作と同じくアヴェンチュリン製の文字盤を採用し、ゴールドの太陽を中心に、太陽系惑星の水星、金星、地球がそれぞれのサイクルで公転、さらに地球の周りをダイヤモンドの月が回るという、手の込んだ造りが素晴らしい。
流れ星の針が12時間に一度文字盤の外周部を回転していくが、前作は天文腕時計らしく24時間表記だったのに比べ、12時間表記となった新作は、普通の時計としての使いやすさも考慮されているように思えた。
Profile
松山 猛 Takeshi Matsuyama
1946年京都生まれ。作家、作詞家、編集者。MEN’S EX本誌創刊以前の1980年代からスイス機械式時計のもの作りに注目し、取材、評論を続ける。SIHHは初回から欠かさず取材を重ね、今年で28回目。
撮影/岸田克法 文/松山 猛