近頃、話題の「アート」。そこでの注目の用語を通して自分の知識を、そしてビジネスでの会話を広げてみては?

草間彌生「自己消滅」1980 年 cYayoi Kusama ※前期のみ。現在は展示されていません。
“キュレーション”
キュレーションとは「知」と「人」をコネクトすることだ
インターネットでよく聞かれるキュレーション・サイトの「キュレーション」という言葉は、もともと美術館やギャラリーなどで展覧会を企画することをいう。またそれを実現する人を「キュレーター」と呼び、それぞれ美術用語からきている。キュレーション・サイトがある個人の価値基準に沿った情報を集めてユーザーをコネクトするものであるように、美術の世界での「キュレーション」も、「キュレーター」が美術や社会に関わる思いを共有するために作品を選び、展示をすることだ。現代美術が日本ではなじみの薄かった1979年に現代美術専門の私設美術館、原美術館を設立したのが原 俊夫氏。以来館長として、時代の先駆けとなる国内外のアーティストたちと交流を重ね、独自のコレクションを築きあげてきた。
「キュレーションという行為には、ひとりのアーティストの全作品を偏執的に知りつくすことが必要だ」とアメリカの伝説的キュレーター、ウォルター・ホップスがいうように原氏も作家がどのような感性の持ち主で、どうしてその作品が生まれたのかといったことを知らずにコレクションすることはないという。原美術館の約40年間の活動で館長自ら初キュレーションした展覧会。「将来性を読む」といったビジネスマンの感性を磨くよい機会だ。
キュレーションとは自分の感覚を信じ続けることであり、己のフェチを探求すること

cYoshitomo Nara
奈良美智が滞在制作をした小部屋である『My Drawing Room』(2004年8月〜)。そのまま保存され、作家自身により、時々手を加えられる進行形の作品として常設展示されている。
未知の文化や人々と交流することで、自分自身が変化をすることを恐れない

cMickalene Thomas
アフリカン・アメリカンのアーティストである、ミカリーン・トーマスの作品には、巨匠アングルの裸婦像を思わせるエキゾチックなエロティシズムが溢れている。
キュレーターは一方通行ではなく、「知」と「人」の交差点を作りだす役割

2005 年 cAdriana Varejao
ブラジル現代美術界を牽引するアドリアナ・ヴァレジョンの作品。こちらはブラジルの植民地時代の歴史と先住民が育んだ文化との交差などを背景に持ったものだ。
『現代美術に魅せられて 原俊夫による原美術館コレクション展』
会期:開催中?6月3日(日)
会場:東京都北区北品川4-7-25
開館時間:11時?17時
(祝日を除く水曜は20時まで。入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜(祝日の場合は開館。翌平日振り替え休)
料金:一般1100円ほか
お問い合わせ:原美術館 Tel.03-3445-0651
[MEN’S EX2018年6月号の記事を再構成]
文/柘植 響 構成/神山典子