

今月の先生
小林一広先生
メンズヘルスクリニック東京 院長
北里大学医学部卒業。同大学病院精神神経科等を経て、医療法人社団ウェルエイジングを設立。
2014年メンズヘルスクリニック東京を開設。精神科医としての経験を生かし、男性のアンチエイジング医療に心身両面から取り組む。
男性ホルモンが低下すると気力・体力・活力が落ちる
M.E. 最近、疲れやすく、以前のようにやる気が出ません…。
小林先生 男性更年期障害の可能性があります。40歳を過ぎると身体的・精神的・性的バイタリティの源である男性ホルモン(テストステロン)の分泌が徐々に低下していきます。ストレスによりそれがガクンと低下し、気力・体力・活力の衰えなどうつ病に似た不調を来すのが男性更年期障害です。医学的診断は、血液検査でテストステロン値の変化を測定した上で確定します。
M.E. どの年代に多いのですか。
小林先生 30代後半から60代以降まで幅広く起こります。ただ、女性の閉経期のように短期間に一気に下降しないので症状も顕著でなく、個人差も大きく、さほど意識せずにやり過ごす人が大半です。
まずは生活改善から。重症ならホルモン補充療法も
M.E. うつ病との違いは何ですか。
小林先生 男性更年期障害の場合、食欲減退はあまり見られず、食事量が同じで基礎代謝や活動量が減るのでむしろ太る人が多いようです。性欲減退はうつ病にも起こりますが、男性更年期障害でより顕著です。
M.E. 日常生活でできる男性更年期障害への対策を教えてください。
小林先生 まずはテストステロンをできるだけ減らさない努力を。テストステロンは睡眠中に作られ、筋肉量が増えると活性化します。睡眠時間を確保し、大腿四頭筋などを鍛えるスクワットを習慣づけることも効果的。また、アルコールはテストステロン値を下げるのでほどほどに。
M.E. 睡眠不足、運動不足、酒の飲み過ぎは大敵ですね…。
小林先生 重症の場合は、テストステロンを補うホルモン補充療法という選択肢があります。副作用として前立腺がんを進行させる場合がある(発生させるリスクは報告されていない)ので、事前のがん検診が必要です。生活改善と並行すれば数か月でよくなるケースがほとんどです。