午後は市内散策へ。1909年に創建されたクアラルンプール最古のモスク「マスジット・ジャメ」を訪れる、が、ついた時は運悪く見学の時間を過ぎてしまっていた。これからはお祈りをするムスリムのための時間。ランチ後の快いまどろみのせいだ。しかし、それはそれで旅の良き思い出。次回は内部も見学しよう。気を取り直してモスクの外周をぐるりとすると、川向こうへと出た。ここから眺めるマスジット・ジャメも本当に美しい。


ここまで来たらセントラルマーケットが近いはずと思い、クラン川沿いを南に向かって歩くとすぐに見えてきた。いかにもアジアのマーケット然とした雰囲気。あまりに想像通りで笑みがこぼれた。飲食店から衣料品店、スパイスを売っていたり、何だかよくわからないショップも多々ある。この雑多な感じ、アジアのパワーが漲っている。
バティック(ろうけつ染め)を扱う衣料品店で、ふと目にとまったのが白地に紫で染めた緩やかなタイパンツ。ヒモで体に巻き付けるようにして履くので夏の暑い時期に重宝する。しばし迷ったが、「ここで見ると自然だが日本で着用するのだろうか?」と思いとどまり購入するに至らず。しかし、今になると少し後悔している。冒険をしなくなったのは、年齢ゆえか。
さて、ホテルに戻ろうと行きとは別の駅へと向かう。ちょうど構内に入ろうとしたらスコール。稲光が走り、真っ暗になった空から大粒の雨粒が落ちてきた。傘を持たずにでたので間一髪、セーフ。訪れた時期は雨期だが、ずっと雨が降り続いているわけではなくこのようにスコールが日に何回か降る。短時間だが雨足がかなり強いので、もし降られたらカフェやショッピングモールに避難するほうがいい。
濡れずにホテルに戻ったが、ちょっと疲れたのでお茶を飲もうとクラブラウンジへ。マレーシアはイギリスの統治下に置かれていたので、ハイティーが充実している。ゆったりとしたクラブラウンジでサンドイッチやスコーンをつまみつつ、お茶を飲む。どうやら雨はほぼ止んだようだ。
今夜はディナーの前にペトロナス・ツイン・タワーの展望ツアーを予約してある。ディナーのために着替えに部屋へと戻った。
#8に続く
次回:クアラルンプール随一の観光名所へ
文/藤村 岳