

今月の先生
四元淳子先生
認定遺伝カウンセラー
大学卒業後、認定遺伝カウンセラーに。現在はお茶の水女子大学基幹研究院自然科学系大学院人間文化創生科学研究科ライフサイエンス専攻遺伝カウンセリングコース助教。著書に『遺伝子がわかれば人生が変わる。』(ポプラ社刊)
賢く利用し、40代からの生活改善の動機づけに
M.E.
健康が気になり始めました。手軽に体質や病気のリスクを調べられる遺伝子検査に興味があります。
四元先生
40代から生活改善を心がけるための動機づけとして、遺伝子検査の結果を生かすのはとても良いことです。ただ、医療機関を介さずインターネットなどで売買される検査キットには規制がなく、科学的根拠が曖昧なものも少なくありません。
M.E.
選ぶ基準を知りたいです。
四元先生
検査の内容や方法が明記され、相談窓口の設置などフォロー体制の整った会社は良心的といえるでしょう。利用する場合は、各社で検査方法が異なり結果にバラつきがあること、遺伝子と体質や病気の関係は解明しきれておらず検査でわかる項目や精度に限界があることを知り、納得して受けることが大事です。
あくまで診断ではなく傾向。専門的な相談窓口も利用
M.E.
正確な結果を期待できる検査項目もありますか?
四元先生
例えば、アルコール耐性は関連遺伝子が明らかなので、遺伝子検査でお酒に強いか少量のお酒で具合が悪くなるかがわかります。
M.E.
「がんになる確率が〇倍」といった結果も出るそうですが。
四元先生
がんには複数の遺伝子が複雑に関連しており、その数値がどの程度信頼できるかは疑問です。また、元々の患者数が多いか少ないかで「○倍」の意味は異なり、示されるのは平均値。予想外の結果を深刻に受け止めすぎないことですね。
M.E.
とはいえ、病気になる確率が高いと出れば不安になります。
四元先生
一人で悩まず、検査会社の担当窓口に相談しましょう。フォロー体制が不十分な場合は病院の遺伝診療科などで専門の遺伝カウンセリングも受けられます。がん医療の分野では高度な遺伝子検査が行われ、その人に最も効果的な治療法や、体質に合った予防法が提供されています。今後はデータの蓄積と共に遺伝
子と病気や体質との関連が精密にわかるようになり、日常的な健康管理や病気の治療、予防医学の分野に大いに貢献することが期待されます。