
『ショーン・オブ・ザ・デッド』『ホット・ファズ?俺たちスーパーポリスメン!?』『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』など、自ら書いたオリジナル脚本を監督することにこだわり続けるイギリスの映画作家エドガー・ライト。映画と音楽への愛をふんだんに詰め込んだ、ともすれば情報過多のエンターテイメントは、日本でも熱狂的に支持されている。
彼のハリウッドデビュー作となる『ベイビー・ドライバー』は、天才的な運転スキルを持つ寡黙な青年”ベイビー”が、犯罪組織の”逃がし屋”として活躍する、カーアクションが見どころのクライム・エンターテイメント。音楽ジャンキーのベイビーが、イヤホンで聴く楽曲に合わせて編集される映像の気持ちよさは相変わらずなうえ、本作では歌詞とストーリーがシンクロし、高次元での相互作用を及ぼしている。
映画と音楽への愛情はそのままに、ライト監督は混沌から洗練のネクストステージへ踏み出した。ファンにとっては、アメリカだからこそ撮れた多彩なカーアクションの映像や、ライト印の残酷表現が大御所俳優ケヴィン・スペイシーの怪演で見られるのも嬉しい限り。
DATA
『ベイビー・ドライバー』
監督・脚本:エドガー・ライト
出演:アンセル・エルゴート、ケヴィン・スペイシー、リリー・ジェームズ、 エイザ・ゴンザレス、ジョン・ハム、ジェイミー・フォックス
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
8月19日、新宿バルト9ほか全国公開
[MEN’S EX2017年9月号の記事を再構成]
文/須永貴子、神山典子 構成・文/甘利美緒