
大衆車でありながら、特別な存在
フォルクスワーゲン ゴルフは恐らく日本で最も有名な輸入車である。その中でも「GTI」と呼ばれるスポーツ性能を高めたモデルは、大衆車である価格帯ではありえないような性能が常に与えられ、世界中の自動車メーカーを唸らせてきた。
ゴルフシリーズは1974年から生産され、現在は7世代目に進化を遂げている。GTIも初代モデルから設定され、1975年から発売が続けられている。そのコンセプトは今も変わらず、大排気量エンジンではなく、小さくて元気なエンジンに軽快なアシまわりを組み合わせるというもの。初代モデルは1.6リッター、110馬力のエンジンを積み、オーバークォリティと思えるほどの速さと安定性を誇った。そして1984年、日本に初めてGTIが正規輸入され、その性能が広く知られるようになった。自動車評論家の草分けである故・徳大寺有恒氏がその完成度の高さ、当時の日本車との品質の違いを指摘するなどして、その名は一気に広まる。その後、約10年発売が続けられた「ゴルフ2 GTI」だが、その後安全性能確保のためにボディサイズが徐々に拡大していったため、今もこの「ゴルフ2 GTI」を絶賛する人は多い。その後、キープコンセプトのまま1991年に第3世代へ進化し、2012年には第7世代のゴルフに。もちろんどの時代もGTIは設定されていく。
フォトギャラリーでみる「GOLF GTI」歴代モデル(写真7枚)
そして第7世代に入り、このGTIをより「らしく」仕立てた「GTIパフォーマンス」というグレードも限定500台で登場している。GTIをより高性能化させたこのモデルは、以前にも同じく限定車として販売されたことがあり、本国ではGTIと共に発売されているグレードだ。エンジンは専用の2リッターTSIユニット、出力はGTIよりも15PS高めた245PS。トランスミッションにGTIとしては初採用の7速DSG(ツインペダルMT)、インテリアには専用シート、その他にも大口径ブレーキや19インチホイールといった特別な装備が用意される。ちなみに歴代ゴルフには「VR6」は「R32」といった、大きなエンジンを積んだスポーツモデルも用意されてきたのだが、このGTIシリーズのほうが人気は高い。
GOLF GTI Performanceのディテール(写真7枚)
一般的に手の届く価格帯で、サイズも手頃。品質や安全性が高く、なにより走る楽しさがある。コストパフォーマンスで考えれば、どの時代においてもゴルフがNO.1といっていいはずだ。フォルクスワーゲンを代表するゴルフが世界から愛され、支持される理由。その理由がギュっと詰まったクルマ、それがGTIシリーズなのである。もし初めての輸入車を探しているなら…これほど力強くお勧めできるクルマは他にないだろう。
GOLF GTI Performance 海岸ドライブ フォトギャラリー(写真3枚)
VOLKSWAGEN GOLF GTI Performance
全長4275×全幅1800×全高1470mm 総排気量:1984cc エンジン:直列4気筒ターボ トランスミッション:7速オートマチック 車両価格(消費税込み):456万円(フォルクスワーゲン カスタマーセンター TEL:0120-993-199)
撮影/河野敦樹 構成・文/iconic