2017年8月号

2017年8月号

2017年07月06日発売

男磨きのHow much?

“スーツな男”にとって夏は格好の充電期間。仕事や人生の枠や型を広げ、ときには破るためにも、自分自身の引き出しを増やすミッションに挑むべきだ。お洒落を見つめ直すもよし、今後の10年を闘えるカラダや教養作りに勤しむもよし。いいオトナだからこそ全力で楽しく学び、マジメに遊んで、気づけば身につく&タメになるM.E.流男磨き。賢い自己投資、始めるなら今でしょ。

プロのアドバイスで装いをアップデートする

若い頃ならまだしも、年を重ねてある程度好みのスタイルが固まってくると、装いについて他者の意見を聞く機会は減ってくる。そこでおすすめしたいのが阪急メンズの「スタイルメイキング クラブ」。ここでは同館で取り扱うアイテムに精通するスタイリストが、要望に応じてブランドの垣根を越えた旬のコーデを提案してくれる。

「英国のようなジェントルマンズクラブがない日本では、行きつけのテーラーや社交の場が装いのイロハや流行のスタイルを学ぶ場として機能していました。しかし現代ではそういう場に恵まれている人は少数。プロのアドバイスで装いを見直し、常に印象の鮮度を高めておくことはイメージ戦略的にも有意義でしょう。また日本のビジネススタイルはどんどん無難で画一的になっています。そこには”上司以上のお洒落はできない”という日本人特有の遠慮のマインドが感じられます。つまり上司が率先して装いをアップデートしない限り、部下や後輩の装いは変わらないでしょう。責任ある立場にいる人はまずそこに気づいていただきたいですね」(中野さん)

服飾史家 中野香織さん

東京大学・大学院卒。英国ケンブリッジ大学客員研究員を経て、明治大学国際日本学部特任教授。服飾史研究の第一人者として執筆や後援などマルチに活躍。

麻に備わる夏のエレガンスを知る

昔から洒落者に夏服地として愛されてきた麻(リネン)。これはもちろん、麻が夏に適した優れた特性を備えているからだろう。吸水性、放湿性、発散性に富み、シャリシャリとしたタッチは視覚的な涼感演出にも効く。しかし中野香織さんはそれ以上に大きいのが、麻が備えるエレガンスだと言う。

「かつて欧州では麻は財産目録に載せるほどの高級品。いわば富の象徴で、15、16世紀の肖像画では服に切れ込みを入れて麻の下着をつまみ出しているものさえ見られます。そんな歴史があるから、ハイテク系の涼感素材が多数登場した今も、欧米の紳士は麻を好んで着用する。シワになりやすいのが難点ですが、だからこそ夏に麻を綺麗に着ている人からは心の余裕が感じられる。これぞ究極のダンディズムです」(中野さん)

柄チーフ一挿しで装いにメッセージが生まれる

チーフは男に許された数少ない装飾アイテム。とくに夏場のノータイ姿では、装いの寂しさを補う上でも積極活用すべきだろう。

「チーフを挿すことで相手や訪れた場への敬意を示すこともできます。かくいう私もチーフを挿した方とお会いすると、自分のためにお洒落に気を遣ってくださったんだなと嬉しく感じます(笑)。上手な挿し方がわからないという人もいるかもしれませんが、上着の胸ポケットはチェスターコートで手袋を入れるために設けられたのが起源。やがてジャケットにも採用され、昔の紳士はそこに鼻をかむためのハンカチを入れたのです。だから英国男性には綺麗に畳まずクシャッと無造作に挿す人が多い。そんな来歴を知れば、初心者も身構えずに自然に挿せるのではないでしょうか」(中野さん)

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