来日したアルマーニさんにインタビュー!「スーツの品格、MTMの楽しみ方」とは?

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アルマーニさんが教えるスーツの品格、MTMの楽しみ方

アルマーニさんが教えるスーツの品格、MTMの楽しみ方

銀座タワーに新しく完成したMTMルームで激写!

東京で行われた2020年クルーズコレクション発表のため、12年ぶりに来日したジョルジオ・アルマーニさん。この写真はその際、MTMルーム内で撮影されたものだ。手前と奥の2ヶ所にテーブル&チェアが備わる広大な空間、これを贅沢にも一人だけで利用することが可能。

「エレガンスとは、体に合った服を着てこそ生まれるものだ」

これは凄い……。足を踏み入れた瞬間、シンプルにそう思うはずだ。一面の大理石、マザーオブパールで縁取られた扉、光を受けて変化する神秘的な色合いの壁面。そして何よりここは今、自分のためだけの”巨大な個室”なのである。

今年3月、ジョルジオ アルマーニの旗艦店である「アルマーニ/銀座タワー」が全面リニューアルを遂げた。その目玉となるのが、4階に新設されたメイド トゥ メジャールーム(上写真)である。

ご覧のとおりラグジュアリーを極めた広大な空間だが、驚くべきは利用時に完全クローズされ、自分一人で占有できるということ。信じられないほどに贅沢で特別な待遇だ。この異例ともいえるサービスはなぜ実現されたのか。ジョルジオ・アルマーニさん本人からお話を伺うことができた。

「私が考える審美的な世界を、お客様がリラックスして体感できることを願うがゆえです。この空間はアルマーニの世界を体感していただく象徴的な場所なのです」

アルマーニの世界を表現するのに不可欠な要素が”エレガンス”だ。様々な解釈のある言葉だが、ジョルジオ・アルマーニさんにとってエレガンスとは何なのだろう?

「それは、骨格を美しく見せることです——」

実はこの言葉には続きがあるのだが、それは本稿の最後にお伝えするとして、”骨格を美しく見せる”のに欠かせないのは体に合った服である。その最適なアプローチはオーダーで誂えることだが、それはときに迷宮をさまようような感覚に陥らせることもある。

体が緊張していては採寸ひとつ正確に行えないし、ノイズの多い環境では生地選びを誤ることもある。だが、このメイド トゥ メジャールームなら邪魔は一切入らない。心から寛いでオーダーに専念できるこの空間は、最高の”体に合った服”が仕立てられる場所なのだ。

アルマーニさんが教えるスーツの品格、MTMの楽しみ方
MTMルームにディスプレイされているイメージビジュアルがこちら。オーダー時に使うボタンや裏地の生地見本とともにメジャーや板状のチョークなど、テーラーの伝統的な道具を印象的に配しているあたりに上質な仕立てへのこだわりが窺える。

「スーツを選ぶことは過去のあなたではなく今のあなたを選ぶこと」

ジョルジオ アルマーニのメイド トゥ メジャーは、40ヶ所にも及ぶきめ細かな採寸によってジャストフィットを叶える極上のオーダーメイド。モードの帝王と呼ばれるアルマーニの一着を、自分だけのものにできる特別な体験だ。

生地やボタンなどデザインのバリエーションも膨大な選択肢から選べるわけだが、ジョルジオ・アルマーニさんならどんな選び方をアドバイスするのだろうか。本誌だけにお答えいただいた回答を、ここにご紹介しよう。

「初めてスーツをオーダーされるなら、シンプルな生地をおすすめします。中でもダークグレーやネイビーブルーは素晴らしい選択ですね。私自身、ドレスアップするときはほとんどいつも、ミッドナイトブルーのパンツとTシャツを身につけます。ネイビーは黒ほど強すぎないニュートラルな色で、ほかの色を引き立ててくれます。

ですから、コレクション全体のベースカラーもネイビーです。今、スーツは様々なスタイリングができるほど柔軟でなければなりません。シャツとネクタイだけでなく、ニットウェアでも、あるいはカシミアのTシャツにも合わせられることが大切です。シンプルなネイビーブルーやダークグレーのスーツなら、そのようなスタイリングも可能です」

本誌読者なら全面的に納得できる回答だろう。では、2着目、3着目と進む際にはどうするか?

「基本をカバーしたら、オーダーならではの楽しみを味わいましょう。これは、テクスチャー(素材感)とパターン(柄)を探求する楽しみです。私個人は、ナチュラルなカラーが好みですね。コレクションでも、鮮やかな色はほとんど使うことがありません。生地選びのコツは、様々なタイプのアイテムとコーディネートできるものをチョイスすることです。

柄は控えめにし、ユニークなテクスチャーのある生地に挑戦してみるのもいいですね。また、イブニングやパーティシーン用にブラックスーツを考えてみるのもおすすめです。メイド トゥ メジャーでは豊富な生地をラインナップしていますが、この中から自分にぴったりなものを、自分自身で探すという行為こそ、オーダーをする醍醐味のひとつなのです」

ジョルジオ・アルマーニさんのリコメンドはとても堅実で、コンサバティブとも受け取れる。しかし一方で、氏はこうも語る。

「スーツを選ぶということは、過去のあなたではなく、今のあなたを選ぶということです」

ビジネスとカジュアルの境界が厳密でなくなり、スーツのあり方に多様性が生まれている昨今の風潮は、日本だけでなく全世界に共通のもの。そんな時代に、紳士の基本姿勢である控えめさを守りつつ、生地の風合いやシルエットなどにこだわってアップデートを重ねることがいかに重要であるか。それを示唆するような言葉だ。

さて、前出の”アルマーニさんにとってエレガンスとは何か?”という回答の続きをお伝えしよう。「エレガンスとは、骨格を美しく見せること。それは立ち居ふるまいです。大声を出さず、落ち着いて、控えめにふるまうこと。それがしっかりとできていれば、安価な服ですら高級に見えるのです」

氏のいう”骨格”とは、実は単に体型だけを指した言葉ではなく、”本質的な人間性”のことをも意味しているのである。

アルマーニ/銀座タワーのメイド トゥ メジャールームは、決していたずらに贅を尽くしたものではない。至高のラグジュアリーを体感し、生地やデザインの探求を通して、心を豊かにすることを目的とした空間だ。

豊かな心は、ふるまいを洗練させる。このようにして、アルマーニさんが考えるエレガンスの源=”美しい骨格”が自然と完成されていくのである。いうなれば、このオーダーサロンは紳士を育み、さらにその魅力に磨きをかけるための場所なのだ。

アルマーニさんに取材させていただきました!

アルマーニさんに取材させていただきました

なんと今回、ジョルジオ・アルマーニさんご本人にお目にかかり、直接インタビューが実現。編集長・金森(左)の質問に、丁寧にお答えいただいた。極めて穏やかながら芯の通った、理知的な話しぶりが印象的で、まさしく”帝王”に相応しい品格と威厳に満ちていた。




[MEN’S EX 2019年9月号の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)

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