最初にカウンセリング
どんなシーンで着たいのか、どんなスタイルが好みか、など、まずは顧客の思い描く理想を聞き出していく。「どんな取材の場に着て行っても恥ずかしくない一着を作りたいです。でも、艶っぽさも少し欲しい」と田島さん。脚が細い体型も鑑みて、今回は細身の「リージェント」と「ミラノ」フィットの2Bモデルが候補に。
採寸でサイズを割り出す
チェスト、ウエストのほか腕を含めたオーバーアーム(写真)の数値も採寸。肩の広さやクセも考慮しながら、おおよそのサイズを割り出す。「お見受けしたところサイズ37か、38のショートがジャストですね」と大平さん。
既成スーツを羽織ってバランスを見る
型をベースに仕様を決めてゆくパターンオーダーは、オーダー時に実物に近いイメージを想像できるのもメリット。なお、ブルックス ブラザーズは一般的なブランドよりもサイズ展開が細かいうえ、それぞれにショートとレギュラーのレングスが用意されている。
鏡の前で試着
採寸に基づき用意された、サンプル用の既成服を着比べていく。写真は、今回用意された中では最もゆとりのあるリージェントフィットの37サイズ(ショート・以下略)を羽織ったところ。
さらりと貫禄の滲むリージェント フィット
程よい細身シルエットを描く、リージェントのサイズ37を羽織った田島さん。「しっくりきますね?」と早くも笑顔ですが「もう少し細身でもいいかも!?」と攻めたいご様子。
細身に攻めたミラノ フィット
続いて同サイズのミラノを試着。「デザインはこちらのほうが好みですが、ちょっと肩が当たります」と田島さん。「田島さんは上腕がしっかりされていますし、ミラノは全体にコンパクトなので、1サイズ上げてみましょう」。
1サイズ上げたミラノ フィット
サイズアップによって「わっ、大分ラクになりました!」と田島さん。「よく似合っていらっしゃいます」と大平さんのお墨付きも得て、今回はこれをオーダーのベースにすることに決定!
裾丈の基本は床から1.5cmほど
まずは基準値となる長さで裾を折り返し、顧客の好みを聞きながらバランスを調整していく。
今回はハーフクッションに
いつもはノークッションでパンツを穿くことが多いという田島さんの好みを鑑みて、今回はわずかにクッションが付く程度の軽やかな丈に決定。
袖丈も印象を左右する大切なファクト
長くても短くても違和感が出てしまうのが袖の長さ。既成服の調整にもいえるが、ここは採寸者の経験がモノを言う。
腕は必ず、左右の長さを図る
左右の手の長さは、筋肉の付き方によって差が出ることが多いため、それぞれを測定する。「田島さんは右手のほうが5mm長いですね」と大平さん。
袖丈の基本は親指の先から11cmほど
ベースはこの基準値ですが、今回はわずかに短くし、親指の先から12cmほどに詰めることに。そのココロとは……?
袖丈はパンツの丈との調和が大切!
「ノークッションやハーフクッションの軽やかなパンツ丈の場合、ジャケットの袖丈も短めにしたほうがバランスがいいんです」と大平さん。こうした細かなバランスまで見て調整してくれるのは頼もしい限り。
ヒアリングに基づいてベストなスペックを提案
どんなシーンで着るのか、好みのテイストは何か、他にどんな服を持っているのか、など多方面のヒアリングに基づく親身なディテール提案も、ブルックス ブラザーズのパーソナルオーダーの魅力。
スーツの要となる生地をチョイス
一番悩みがちで、かつ楽しい作業が生地選び。「昨今主流のイタリア生地はしなやかで光沢感のあるものが多く、発色が美しい。対して英国生地は、耐久性に富む生地が多く、仕立て映えすることが魅力ですね」と説明する大平さん。田島さんは無地がいいと言いつつ、大好物のグレンチェックも気になるご様子。
実際に手で触って生地感を見比べる
「ヴィターレ・バルベリス・カノニコ社は、イタリア生地の中でもクラシックな趣の生地作りを得意とするメーカーでして、モノによってはとても英国的な匂いがします。この生地はいかがでしょう? 艶感も美しいです」と提案された無地の一枚に、田島さんも「いいですね?」と前のめり。
手の甲に載せて自分の肌色との相性もチェック
「品のいい無地ですが、織り模様にさりげない表情があります」「程よい厚みで、真冬を除く3シーズン着やすいと思いますよ」と薦める大平さんに背中を押され、「コレにします!」と田島さん。
裏地やポケットなど細部の仕様もセレクト
総裏か半裏か、といった仕様や、外ならびに内ポケットの仕様も選べます。ちなみに裏地は総裏のほうがクラシックというイメージがありますが、ブルックス ブラザーズでは「お客様に、中まで手を抜かず丁寧に縫っていることを見ていただきたい」という思想から、伝統的に半裏のスーツが多いのだとか。
表情が増すラペルエッジのAMFステッチ
ラペルなどのコバにAMFステッチ(手縫い風のミシンステッチ)を施すと、さりげない表情が生まれる。また「光沢感のある生地の場合、艶が際立ちエレガントに見えます」と大平さん。
通常のミシンステッチver.もあり
通常のミシンステッチだと、AMFステッチよりもスポーティな趣に。ちなみに、エッジから7mm幅の場所にこれを施すと、よりリラックスした趣が増す。ミニマルな見た目が好みなら、ノーステッチを選択することも可能。
ボタンは約30種類から選べる
ホーンボタン、ナットボタン、練りボタン、金属ボタンなど、約30種類あるボタンの中から、生地の表情やスタイルにマッチするボタンをセレクトします。
オーダーフェア中は特別なボタンもチョイス可能!
リアルホーンのボタンに「BROOKS BROTHERS 1818」と刻まれた特別な仕様。フェア期間限定のアイテムだ。
イメージしやすいよう生地に乗せて
ボタンは生地に乗せてみると、仕上がりのイメージがしやすい。「上品な生地ですので、重厚なリアルホーンのボタンがお勧めです。ネイビー生地にはダークトーンのボタンが好相性なので、この素材ですとDB(ダークブラウン)が映えるのではないでしょうか」と大平さん。
襟裏のフェルト(カラークロス)を選択
ハイグレード仕様を選べば、全16色から選択可能。目立たないよう同系色にするもよし、アクセントカラーにするもよし、の箇所だが、田島さんは「一張羅のスーツなので」と前者を選択。