「クルーズ旅の本当の魅力」を通算1000日以上乗船したプロに聞いた

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クルージング

極上グルメ、究極の癒し、未知の寄港地、
そして想像を超える出会いが待ち受ける!
乗客同士が作り上げる洋上のストーリー

日本発着が増え急速に注目度を上げるクルーズは、男を磨く絶好のステージ。洋上の共通言語は「英語ではなく笑顔」だと気づかされることでしょう。

voice_20190910_cruising_000.png 文・喜多川リュウ
クルーズコーディネーター。通算1000日以上乗船。カナダ・バンクーバー現地旅行社駐在員、クルーズ添乗員を経て、現職に。著書に『極上のクルーズ手帖』(クルーズトラベラーカンパニー)などがある。

忘れられない出会いがある私の惚れ込んだクルーズ旅

クルーズにオフシーズンはない。船は1年365日休むことなく、ベストシーズンの海域を求めて7つの海を駆けめぐる。

春から秋まではエーゲ海の島々や地中海をめぐる航路がいい。寄港地では世界遺産や地元グルメが待っている。「何もしない」を満喫するなら真冬のカリブ海航路。自然派には目の前で轟音を立てて氷河が崩落する夏のアラスカ航路がおすすめだ。

クルーズは知性派から行動派まで、じつに幅広い乗客の欲求を満たしてくれる。

だが、私が船旅に魅了された一番の理由は、船内のあちこちで生まれる乗客同士の「出会い」にある。それは普通の旅行では経験できないものだ。

乗客はみな同じ日に同じ港から乗船し、下船するまでの1〜2週間をひとつ屋根の下で共に過ごす。だから、早朝のスポーツジムや寄港地をめぐるバスツアー、出港時のプールサイドのバーなど、毎日同じ時間に同じ場所で、同じ顔に出食わすことも珍しくない。2、3日もすると、心地よい仲間意識が芽生えはじめ、ふとした出会いから想像もしなかったストーリーが展開していく。

実例を挙げよう。数年前の話だが、アマルフィ海岸沿いを通過中の早朝、私はカメラを持ってオープンデッキに上がった。そこには私とジョギングをする男性のふたりしかいなかった。シャッターを切り続ける私の横を、男性は5回ほど通り過ぎたあと、呼吸を整えながら私の隣にきて「ぼくもカメラを持ってくるべきだった」と話しかけてきた。私が彼の走る姿を入れて内緒で撮った一枚をそっと見せると、彼は嬉しそうにその写真をぜひ送って欲しいと言った。

彼とはその日の夕刻、船長主催のカクテルパーティで再び顔を合わせた。タキシード姿の彼は見違えるようだった。互いに互いのパートナーを紹介し、シャンパンで乾杯。ミシガンからきた彼とは同い年だったこともわかり、さらに盛り上がり、自然な流れでその晩のディナーテーブルを共にした。それからもすれ違うたびに談笑した。フェアウェルパーティの再会で最後の乾杯をすると、船を降りたくない思いがぐっとこみ上げてくる。彼らからクリスマスカードが届くたびに、あの朝のアマルフィ海岸の風景が蘇る。一度でもこれを体験してしまうと、だれもが船旅の虜になってしまうのだ。

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[MEN’S EX 2019年9月号の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)

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