クリムト、シーレ、ヴァーグナーらの傑作が生まれた「世紀末芸術」の魅力とは?

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近頃エグゼクティブの間でますます話題のアート。知識を広げ、ビジネス会話を広げるためには、アートの「用語」にも精通しておきたい。

世紀末芸術
わずか28歳で短い生涯を閉じたエゴン・シーレ(1890-1918)の油彩画の傑作。深く刻まれた額の皺、彫りの深い容貌は、本人を忠実に再現している。大きな指は何かのサインだろうか。
エゴン・シーレ《自画像》1911 年 油彩/ 板 27.5×34 cm ウィーン・ミュージアム蔵 ©Wien Museum / Foto Peter Kainz

"世紀末芸術"【ビジネス"ART"会話#15】

19世紀末に生まれた豪華絢爛な芸術の源は、「人間らしさへの希求」

「世紀末芸術」とは、19世紀末から20世紀初頭にかけてウィーンで花開いた、装飾性豊かな独自の芸術文化のこと。「世紀末」という言葉から、時代の終焉を告げる暗く退廃的なイメージを持つかもしれないが、当時のウィーンは欧州のなかでも医学や経済が発展し、貧しい人々のために病院や孤児院を作るなど成熟した都市だった。芸術面でも19世紀末には新しい芸術を求める動きが活発になり、宗教画とは違った、人間のありのままの"生"を描く前衛的な表現も生まれていった。それらを総称したのが「世紀末芸術」である。この時代を代表する芸術家にエロティックな女性像を描くクリムトや、自画像で有名なシーレがいるが、ウィーンには彼らの進歩的な考えに魅了された芸術家や建築家たちが集まり、ジャンルを超えた交流が行われた。

本展ではクリムトやシーレの傑作だけでなく、建築、インテリア、ファッションなども紹介。「ウィーンが近代的な社会へと変化を遂げた、その時代の美術を見てほしい」と国立新美術館主任研究員の本橋弥生氏は言う。実は「世紀末芸術」の種が撒かれたのはこれより100年前。ハプスブルク帝国の首都ウィーンで行われたさまざまな改革。それらが19世紀末に開花し、近代化へとつながったのだ。スピードを競う時代に生きる私たちに、本展は100年後の世界を変える新しいビジネスの発想を見せてくれることだろう。


クリムトが愛した女神は、業界の凄腕実業家!!

世紀末芸術
グスタフ・クリムト《エミーリエ・フレーゲの肖像》1902 年 油彩/カンヴァス 178×80cm ウィーン・ミュージアム蔵 ©WienMuseum / Foto Peter Kainz

モデルの女性であるエミーリエは、姉妹で富裕層向けのブティックを経営する当時としては珍しい独立した女性企業家。グスタフ・クリムト(1862-1918)は数多くの女性と恋愛をしたが、彼女だけは特別で生涯愛し続けた。だが自ら頼んで描かせてもらったこの肖像画は、残念ながら彼女のお気に召さず美術館に収蔵。煌びやかなドレスの模様には、当時ウィーンで流行った日本美術の影響が。


ウィーンを変えた市長の、特注の椅子

世紀末芸術
オットー・ヴァーグナー《カール・ルエーガー市長の椅子》1904 年 ローズウッド、真珠母貝の象嵌、アルミニウム、革 高さ:99cm、幅:63cm ウィーン・ミュージアム蔵 ©Wien Museum / Foto Peter Kainz

ウィーン市長カール・ルエーガーの、60歳の誕生日を記念して特注したローズウッドの椅子は、モダニズム建築の巨匠、オットー・ヴァーグナー(1841-1918)の作品。彼は建築だけでなく、このような椅子や家具などの室内装飾もデザインしている。文化都市ウィーンの市長にふさわしい、洗練されたモダンな椅子だ。ぜひ会場で実物を見てほしい。


ウィーン・ミュージアム所蔵の19世紀の都市模型を3D体験

世紀末芸術
Ⓒ Image DNP ART Communications. Co., Ltd.

皇帝フランツ・ヨーゼフ1世(1830-1916)の英断により、1857年に旧市街を囲んでいた城壁が撤去されたことでウィーンの近代化は一気に進んだ。城壁解体後に整備された通りにはモダンな建築が立ち並び、開放的な芸術を謳歌する都市へと、街も人々も変化していった。本展には19世紀に作られた精巧な都市模型を、最新技術の3D映像で再現するコーナーもある。中世の街が近代的な都市へと変わっていく様子を4分弱の映像で俯瞰。ウィーンの街の歴史的な変貌を眺めながら、「世紀末芸術」が誕生した豊かな時代の香りを堪能してはいかがだろうか。


DATA

日本・オーストリア外交樹立150 周年記念
ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道

東京展
会期:開催中~8/5(月)
会場:国立新美術館(東京都港区六本木7-22-2)
開館時間:10時~18時。金・土曜日と4・5・6月は20時、
7・8月は21時まで。5/25は22時まで開館。
(入場は閉館時刻の 30分前まで)
休館日:火曜日
入館料:一般1600円ほか
お問い合わせ:ハローダイヤル
TEL:03-5777-8600

大阪展
会期:8/27(火)~12/8(日)
会場:国立国際美術館(大阪府大阪市北区中之島4-2-55)
お問い合わせ:国立国際美術館
TEL:06-6447-4680



※表示価格は税抜き
[MEN'S EX 2019年6月号の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)
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