【今月のインタビュー】俳優 東出昌大さん

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30歳という節目の年齢を迎え、俳優として充実している東出昌大さん。カンヌで称賛された主演作『寝ても覚めても』がいよいよ公開。この作品を巡り、演じ方、世界での反応などを語る言葉の中にも"三十路"の覚悟が漲る。

東出昌大さん

「頭が真っ白になるくらい、役に全部を出し切れるよう自分で持っていくしかない」

ラブ・ストーリーか、ジャパニーズ・ホラーか!?

「20歳になったとき、これで20歳でいいの? と思ったのと同じように、これで三十路かいっていう、焦りは感じながら頼り甲斐のある男になりたいとは思っています」

30歳という節目を迎え、このところテレビドラマに映画に、出演作が目白押しの東出さん。9月にはカンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品となった主演作『寝ても覚めても』が公開される。

「完成した作品を見て、僕自身すごくグサグサ刺さりました。5年後、10年後、見返そうと思ってもらえる作品になったと思っています」

実直なサラリーマンの亮平と、 奔放で捉えどころのない麦(ばく)という二役を演じている。亮平はカフェで働く朝子と恋仲になるが、朝子は亮平と瓜二つの麦と運命的な恋に落ち、彼が突然姿を消してしまった過去を告げられずにいる。その麦の存在が物語をスリリングに。

「麦という人間の、ふっと雲のように湧いて出る予測不能なところも、この作品の魅力だと思うんです。原作の柴崎さんが現場に来られたときに、『麦は何者なんですか?』と聞いたら、『宇宙人なんです』という答えが返ってきて(笑)。監督や共演の方からは『東出さんは、亮平よりむしろ麦ですね』ってよく言われました。確かに、僕は悪意も作為もなく、心ここにあらずで動くときがあって、そういうところは麦に近いみたいですね。家族からも宇宙人ってよく言われているので(笑)」

この作品で、初めてカンヌのレッドカーペットに立ったことも大きな経験だった。

「映画って国境を越えて届くというと、どこかで聞いたような台詞なんですが、それを肌で感じたのは初めてでした。おもしろかったのは、『この映画は、ジャパニーズ・ホラーなのか?』という感想でした。すごく嬉しかったですよ。なかなか一筋縄の恋愛映画ではないというか。濱口竜介監督は『愛っていうのは凶器だから、それが映っていたなら、それはそれで』とおっしゃっていて、僕もそうだなと思いました」

ナチュラルで透明感のある愛の一方、複雑で残酷な一面もある裏には監督独自の演出方法があった。

「全く経験のない演技指導でした。例えば、その役にプロフィールが与えられて、役者同士でインタビューし合ったり。本読みも通常と違い、テストまではニュアンスを一切排して棒読み。気持ちを乗っけるのは本番の回だけ。濱口監督の前作『ハッピーアワー』を見て、こんなにナチュラルで生きたお芝居はどうやって生み出されるのか?と思っていたんですが、濱口監督の演出方法ゆえだったんですね。これまで俳優として6年間やってきた"錆び"のようなものを自覚することにもなりました」

今秋には、英国の気鋭の演出家、マックス・ウェブスター氏による、三島由紀夫の大作『豊饒の海』の舞台はじめ、大きな仕事が控える。

「心血を注いでやりたい。頭が真っ白になるくらい、本当に全部を出し切れる役に出会えたというか、自分をそこに持っていくような仕事をしたいなと思います」


東出昌大<Masahiro Higashide>プロフィール
1988年埼玉県生まれ。'12年『桐島、部活やめるってよ』で俳優デビュー。'18年は、主演映画『OVERDRIVE』をはじめ、『パンク侍、斬られて候』『菊とギロチン』『ビブリア古書堂の事件手帖』など多くの作品が公開されるほか、主演舞台『豊饒の海』など活動の幅を広げている。最近ウィスキーにハマっている。「シングルモルト、シングルカスク、ピート香がするアイラ島のものも好きだし、ジャパニーズ・ウィスキーも繊細で奥深い。ハンドメイドのテイスティング・グラスを買って、舐めるように味わっています(笑)」

『寝ても覚めても』

『寝ても覚めても』
カンヌ国際映画祭コンペティション部門選出の快挙!芥川賞作家、柴崎友香の同名の原作を映画化

人間性は真逆ながら、見た目が瓜二つの二人の男性、亮平と麦(東出昌大の二役)との間で揺れ動く朝子(唐田えりか)。その恋は思わぬ展開に。9/1(土)より全国公開中!

関連記事:カンヌ国際映画祭正式出品。不穏なのに純度の高い誰も見たことのない恋愛映画『寝ても覚めても』

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※表示価格は税抜き
[MEN'S EX 2018年10月号の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)

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