フィレンツェに友を訪ねる【松山 猛の道楽道 #001】

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松山 猛の道楽道(どうらくどう)

バーゼルワールド取材のあと、フィレンツェの町に足を延ばし、一週間余りの時間を過ごす事にした。そしてその旅の第一の目的は、たくさんの友達を訪ねる事だった。

広い世界の中でも、この町ほど友人知人の多い町はほかにはない。
それは1980年代からその町に通い、様々な手仕事をする人々を訪ね、雑誌の記事にしてきたからなのだが、その多くの人々とはその後も、通り一遍な仕事での付き合いを超え、一緒に食卓を囲むような、親密な交友関係を結ぶことができたからなのだ。

特に1992年の取材旅行で知り合う事ができた、サルトリア・リベラーノ&リベラーノの、ルイジとアントニオのリベラーノ兄弟、そして靴職人のカロジェロ・マンニーナ親方とその家族、工房で働くその弟子達。

またフィレンツェ伝統の半貴石を用いたモザイクを作る、ピッティ・モザイクのイリオ・デ・フィリッピなど、その素晴らしい腕前で世の人々に、喜びを与えているマエストロ達との交友は、僕にたくさんの知識と審美眼を与えてくれるものだった。

その後も靴職人のステファノ・ベーメル、シャツを作るカミチェリアのレオナルド・ブジェッリ、鉄とゴールドを素材にしたジュエリーを作るマルコ・バローネなどとも出会い、多くの友人に恵まれた町こそ、このルネッサンス運動の中心となった、フィレンツェというわけだ。

ファッションの世界でも、クラシコ・イタリアの中心であるこの町には、ほかの都市にはない独特の男の色気を感じさせてくれる店があり、その流行の様を見て自分のスタイルに取り入れる、ショーケースとなってくれるから、度々そこを訪れたくなるわけだ。

さらにはこのトスカーナの土地の恵みで供される食の悦びも大きな魅力である。
キアニーナ渓谷産牛肉のビステッカやトリッパの煮込み、野生の猪チンギャーレのサラミ、新鮮な地場の野菜、それらで作られた旨い物を、仲の良い友達たちと、トスカーナ産のワインとともにいただくのは、無上の喜びの時間なのだ。

フォトギャラリー(写真3枚)

松山 猛 Takeshi Matsuyama

1946年京都生まれ。作家、作詞家、編集者。MEN'S EX本誌創刊以前の1980年代からスイス機械式時計のもの作りに注目し、取材、評論を続ける。

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