ザクセンの至宝【時計王・松山 猛のBASEL2018】

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バーゼル


バーゼル取材 DAY4

10周年を迎えたモリッツ・グロスマン、独立系のラング&ハイネ

グラスヒュッテを拠点とするモリッツ・グロスマンも、今年でブランド創設10周年を迎える事になり、数々の新作時計をバーゼルワールドで発表していた。

モリッツ・グロスマン ベヌー・アニバーサリー(写真9枚)



10周年を記念して作られた「ベヌー・アニバーサリー」はプラチナケースに鮮やかなブルーエナメルの文字盤のモデルと、そしてホワイトゴールドにブラックエナメルの文字盤のものが、各10ピース限定生産される予定だという。
エナメル文字盤は高度な技術を要するダークカラーを採用し、またテンプ受けのブリッジも14Kゴールドの特別仕様とされた。

モリッツ・グロスマン
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「アトゥム・バックページ」はムーブメントを反転させて、文字盤側にテンプや輪列などの全てが見えるというメカニカル好きには嬉しい時計だ。
反転しただけだと秒針が反時計廻りになるので、それを修正するため、伝え車を追加して時計廻りにしている。そしてシースルーバックから、ストップセコンドのための長いブレーキばねを見る事ができる。

モリッツ・グロスマン アトゥム・ハマティック(写真7枚)



「アトゥム・ハマティック」は実験的なモデルで、ブランド初の自動巻きを搭載。ハンマー式のオシレーターが30度の振り角でスイングし、巻き上げの歯車を巻き上げるというもので、いわば初代ブレゲのペルペチュエル巻き上げの現代版といえる。
また37mm径のテフヌートは、これまでスモールセコンドが7時位置だったものを、輪列の配置を直線状に設計変更してレイアウトし6時位置に変更したニューモデルを発表していた。これによってデザイン的にもバランスよくなった。

ラング&ハイネ
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もうひとつのザクセンからのニュースと言えば、独立系のラング&ハイネから、角型のトゥールビヨン「アントン」が発表されたことだ。このムーブメントは独特のシェイプのブリッジを持つ物で、いつものことだがラング&ハイネの時計の入念な手の入れ具合に感心するのだ。従来の角形腕時計「ゲオルク」のデザインを踏襲しながら、独自に開発したフライングトゥールビヨンムーブメント、キャリバーⅨを搭載している。

このスタイルのフライングトゥールビヨンは、20世紀初頭にザクセンの時計学校で主任教授だった、アルフレッド・ヘルウィッグによって開発されたもので、ブリッジをなくした結果、ムーブメントの厚みを薄くまとめることができたという、ザクセンの伝統的トゥールビヨンのスタイルを取り入れたものだといえるだろう。
美しい仕上げの琴座型カルーセルとテンプの動きを、エナメルダイヤルとともに眺められる、美術品のような時計である。

Profile
松山 猛 Takeshi Matsuyama
1946年京都生まれ。作家、作詞家、編集者。MEN’S EX本誌創刊以前の1980年代からスイス機械式時計のもの作りに注目し、取材、評論を続ける。バーゼル101年の歴史の3割を実際に取材してきたジャーナリストはそうはいない。



撮影/岸田克法 文/松山 猛

2024

VOL.341

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